Madama Butterfly

『花供養』 2 散る花の…


千秋楽を見てきました。
前回と人の入りも違ったし、熱の入れようも半端じゃなかった今日の公演。
千秋楽なんだな〜と感じさせてくれます。
玄関では植田元理事と小林公一現理事がお出迎え。
小林一翁氏の家系(曖昧…)らしくまだお若かったけど、とにかくおっきーい!
そんなに大きい方だとは思いませんでした。

お芝居ですが大まかなに感じたものは前回と同じ。
ですが、キャスト話をする前に最終的に私の頭の中に行き着いたものを語りたいと思います。
このお話、舞台上では一言も発してないけど実は‘愛’の話なんですね。
「なーんだ」って思うかもしれないけど、一番表面的に分かるのは後水尾天皇とお与津の愛。
けどそれだけじゃない。
分類するとそれ以外にも

1、お与津を想う信尋の耐える愛
2、後水尾と信尋の互いを信じあう兄弟愛
3、近衛信尋にただ付き従う近衛家女房の当主への愛
4、お与津の為だけを思ってきた水無瀬の献身的な愛
5、徳川を守り、中宮を守る春日の愛
6、和子の全ての諍いを溶かしてしまうような大きな愛情(生まれ持ったもの)

とまぁ思いつくだけでもこれだけの愛の形があって、それぞれが舞台上で生まれ、時には対抗し、
最終的には(四章)まとまって一つの大きな愛に包まれて終る、という印象が強くて。
最後は天皇が出家して悲しいはずなんだけど、見てるこっちも微笑みで終わるのは
その大きな愛を感じたからこそだと思います。
また、すごいのはそれだけの‘愛’の話なのに一度もその言葉を使わないで表現している事。
昔の話だから直情的に「愛してる」と言わないけど十分他の言い回しや態度、周囲の変化で
分かるものなんですね。
あえて陰に表現しないほうがリアルで好きです。
「愛してる」より「お慕いしている」方が誠実さが違うってもんよ(何様?)
愛、もそうだけど今回のお芝居は京言葉が綺麗で、また日本語独特のまどろっこい、
遠まわしの表現がかえって静かな舞台に映えてました。
‘さえざえ’とか‘淡雪のよう’とかこんな言葉で気持ちを表現するのは日本ぐらい(きっとね)
遠まわしのように聞こえるんだけど、これが不思議とその風景が頭に廻ってくる。
日本の高度な言葉遣いには再度感心です。

さて、キャスト話にまいります。

後水尾天皇@トド
私ってトドが雪の主役時代、ちょうど宝塚から離れてた時だったのであんまり印象無いんですが、
まぁもちろんお上手です。溜め、の芝居上手いなぁ…何も言う事ありません。
挨拶が突然祭りの囃子からだったのでびっくりしました。
悪戯好きは健在でヨカッタ(トップ、専科に行ってからはすっかり落ち着いて見えたので。
雪の3番手とかは遊びすぎてたもんなぁ。)

近衛信尋@キム
あなたの芝居に何度泣かされた事か…
考えてみれば立場的には一番辛いんだよね。
お与津は好きだけど兄のものだし、兄も好きだからお与津と別れ別れになった悲しみも理解できる。
なんであんなに物分かりがいいのか(爆)キムは熱入ってましたね〜
悔しい時や悲しい時の表情が何とも言えず良い!
体(顔)も震えててリアルな芝居してました。
活躍が目覚しいのは嬉しいけど、もう少しゆっくり成長してくれてもいいなぁ。
挨拶の時主要3人以外を袖から呼ぶ時、トドに言われて袖に駆けていったキムが小走りで
(多分衣装のせい)超可愛かった。もう少し、大味(?)な王子様でいてください。

お与津御寮人@となみ
顔は丸いけど(笑)キレー(うっとり)
お芝居は上手なんだけど、どうも彼女の今回の発声法が私の好みじゃないみたいで
最後まで気になりました。嘘っぽい位に高いんだよね…
後水尾との会話で何度か「はい」って言う事があったんだけどその一言はとても好きでした。
何気ない一言なんだけど彼女はその一言に賭けてる!感じで大切に言ってたの。
嘘っぽい高さじゃなくて自然に出た少し可愛らしい高めの「はい」
その一言で天皇との関係性の深さを感じましたね(心で結ばれてる)
個人的には出家した後の格好(白い紫)が好き

冴月@ハン様
お綺麗です〜(いや、マジで)
京言葉もごく自然で、近衛の女房の長だから強い所もあるんだけどいつもどこか優しさを秘めている。
カッコイイ女房でありました。現代で言うキャリアウーマン。
最後の挨拶の紹介を(最上級生だから)したんだけど、その時自分の事を「水無瀬を演じました〜」と
言っちゃって(水無瀬は邦さんの)隣のソルーナさんに突っ込まれて舞台、客席共に大爆笑でした。

春日局@伶さん
女役って事がびっくりだったけど、似合ってたのがこれまたびっくり。
何がいいって冴月との対決(二幕)!お互い引かない引かない。所見の時はハラハラしましたよ。
でも春日も徳川、中宮、日本の為にと思ってしてる事だし完全に悪いとは言い切れない。
(春日の言っている事も正論だから)
四幕で和子と出てくる所は和子を見る目が優しくて、あぁ〜乳母だなって感じ。
現代で言うならやり手の営業マン…かな?(多分違う)

水無瀬@邦さん
月組時代から本当にお綺麗な方でいつまでも変わらない…
今回はお与津命!な女房でその弾けっぷりが好きです。
主人は「お与津は幸せ」なんて言ってるけどたまにうるさいと思う時はないのかな?

公覚尼@ソルーナさん
これまた女役でびっくりですがあんまり登場しないし(爆)違和感なかったですね。
さすが専科の方ともなると何でもござれなんだ。
尼特有の無常観がよく表れてました。
なんかたたずまいだけで‘無’って感じで静かな美しさ。

小橋@灯さん、春野@愛さん(近衛家女中コンビ)
とにかく舞台上で色んな事をしてらっしゃいます。
物の片付けやら服を着せたり(冴月もか)しまいにゃ小橋は生花までしちゃいますから。
信尋が「100万馬力」と言ってましたがホント、その位パワフルでいざとなったら
怖いものなさそう。なんせ筆頭に冴月がいるからな…

よし@はまこ
唯一メインのストーリーに関係のない人物(爆)
登場回数も一幕、四幕の初めだけで少ないけどインパクトは非常に高いです。
高貴な世界を知らないが故に純真に色んな話を聞いてそのまま受け止めてしまう。
それが嫌味なく表れてていい感じでした。
ハマコも女役、でも私は風共で見ているので違和感なしです。
初めに早口言葉の様に行列の方々の名前を読み上げていくのがあるんですが、
今日はそこで拍手もらってました。ホントにすごい。
挨拶では「未来…」と言った時点で超低い男役の声で(笑)急いで女役の声で言い直してたのが
大爆笑でした。

中宮和子@しな嬢
くっ!…可愛い…ミニマムで。あれじゃ誰も憎めない…
小さいのも相まって、世間をあんまり知らないでお嫁に来ちゃった無心なお姫様をよく出してました。
彼女もおいしい役だと思います。
四幕だけだし、自然に視線はそっちにいくし。
天皇が出家した理由を語っている時(結局は徳川のせいなんだけど)和子は本当に辛そうで…
自分はやってないにしろ、自分の出の徳川を完全否定されてるんだもんね。
その後で後水尾が「和子に非はない」って言ってもらえる+怒っていた信尋がその言葉で
和子に対しては表情を緩めるのがせめてもの救いだな、と思いました。
考えれば、和子も徳川の姫で可愛がられてたのがいきなり知らない土地でそれも好意を持たれてない
所にお嫁に行く、なんて辛いんだよね。
お上はいい人だったかもしれないけど何回か元妻の所に行くし、最終的には突然の出家。
きっとお与津の事も知っていたんじゃないかな。
それでも最後一緒にお上の所へ行こうと言ったのは和子の広い心の現われでは?と思ってます。
最後のシーン、和子の一言によって今までの確執が桜の暖かさと共に解けていった様ですごく好き。


…さすが11人、キャスト話全員制覇(笑)
とにかく、視覚的にも、聴覚的(効果音、日本語の美しさ)にも普段の舞台では見られない
奥の深さを感じられた公演でした。
たまにはこういう作品があって、しみじみと思いを馳せるのもいい。
そう言えば、今日は確か5,6回幕が開いて最後の2回はスタンディング。

さて、明日は思いっきり飛んで飛鳥とブラジルです。
頭の切り替え、出来るかな。
と言うか、1列目なんですけど…心臓が止まらない事を祈るのみです。

2004.9.23