Madama Butterfly

『パリの空よりも高く/ファンシーダンス』 君たちは何処へ行ったんだ…


2007年二度目の観劇はI LOVE月組公演です。
去年は愛しい人の退団&「愛している〜」連呼な微妙作品だったので見送った月組。
『THE LAST PARTY』のみで大劇場作品は一年ぶりだったけど、
そんなに久しぶり感がしなかったのは何故でしょう。
それは絶えず情報を入手していたのもあるけど、今の月組は少しの間観に行かなくても
揺るがないような黄金期を迎えている気がするから。
まさしく充実。安堵感が心のどこかにあるんですよね。
こういう時期が一番好きだなぁ…色々安定してて。
作品は菊田一夫作品を植田のおじいちゃまが演出という、これまた微妙に引っかかるものでしたが、
久しぶりに明るいコメディだし!という事で観てきました。(単に癒されたかっただけ)

パリの空よりも高く
正直に言ってしまえば「この内容を1時間半かけてやるの?」な内容でした(爆)
まぁ実際オープニングはショーなのでお芝居はもっと短いですね。
もし私が宝塚を知らない人に作品を紹介するならこんな感じになるでしょう。
    「パリの街にやってきたペテン師コンビが金儲けを思い浮かんで皆を騙すんだけど、
    良心とか恋心が働いて最後は協力しちゃうの。結局お金は手に入らなかったけど
    二人は満足して帰っていくの。」
あら、簡潔(笑)
もちろん周りの関係とか色々ありますが、やはり大劇場でやる作品ではないような気がします。
それに恋愛模様を最後に付け足したみたいな感覚だったし。
(最後に結ばれるならまだしも、結ばれないのは作品に恋愛要素が重要視されなかったという事)
一応宝塚は主演男役の隣に主演娘役がいるという形がお約束ですから、
その隣の存在を軽くして欲しくはなかったなぁと。
経験乏しい若い娘役ならまだしも、彼女は実力十分ですから…うーん、勿体無い使い方だわ。

それでも(あくまで)私が救われたのは「こういう宝塚作品って久々な気がする」という思いがあったから。
よく考えれば昔の作品って結構こんな感じが多かった。
子供も楽しめるような単純でハッピーな作品。
毎公演は絶対にNGですがたまにはこういう作品があってもいいのかな、という感覚になったのです。
最近は作品内容や解釈もあらゆるジャンルで高度化されてきてますから(代表はオギー笑)
たまには頭をリフレッシュしなきゃ。
今の宝塚ファンに受け入れられるかは別として、古き良き宝塚を見たという印象。
昔を愛しみつつ、未来にも進む姿勢は決して嫌いではないので「ま、いいか」というのが最終的な感想。

という訳で作品全体にレトロ漂う『パリ』ですが、それは舞台の使い方も同様で。
幕間に複数人を出して内容を紹介させたり、会話をしてても観客に伝えるような説明内容だったり。
これがかえって新鮮(それでも途中どうしようもないイライラに陥ったけど)
オープニングがショー形式なのも「作品が短い」というよりも「ショーが2度も見れた」
お得感の方が強かったです。初めに華やかで、これぞ宝塚!でしょう。
そういえば観劇していた学生団体がオープニングで黄色い悲鳴を上げてました(笑)

もちろん今の月組生の活躍がこの作品をより楽しく盛り上げたのも事実。
(おそらく雪組じゃこんなお洒落なコメディにはならないと思う)
生徒さんあっての作品だった、とも言えますね。
ということで個別感想。

アルマンド@瀬奈
彼女はどうしてコメディをやっても品が残るんだろう…
『Ernest in Love』の時も思ったけど私にとって‘爽やかな明るさ’なんです。
湖月さんやキムのような太陽的な明るさではなく、どこか涼やかさが残る。
イギリスやロンドンで作られるような洒落たコメディが似合う人だと思います。
もしかしたら久世さんに似てるのかもなぁ(未知数)
それでいて動作、表情、台詞回しで笑わせてくれるんだから本当にすごい。
洒落てるという部分で言えば、彼女のコメディにはマヤミキさんの匂いがします。
ジョルジュ@大空
同期ゆえの掛け合いの良さが感じられて、今の二人だからこそ出来た役柄だったかと。
アドリブとか失敗からの持ち直しとかも安心だし、舞台上で普段の二人を見ているみたい。
オサアサコンビからアサユヒコンビ、うん悪くない。
ギスターブ@霧矢
主役に無二の親友がいるとするなら、その敵役(or違う視点から主役に関わる役)が2番手ポジ。
という訳でキリヤンですが真ん中の二人がデコボココンビなだけに難しかったと思います。
敵役じゃないだけに余計自分の場所を作るのが大変そう。
下手したら集団芝居(ホテルメンバー)のちょっと中心人物になってしまいますから。
でも彼女は‘誠実だから面白い’部分を生かして、かつ見た目のインパクトで存在を作ってました。
だからといって中心のアサユヒ芝居の邪魔もしない。
本当にコメディセンスのある人だと再実感。
ミミ@彩乃
今回は可哀想な役どころで彼女の魅力を充分生かしきってなかったけど、
これは作品の問題なので仕方ないです。
あの姉弟ナデナデしたいぐらい可愛いかったし。
それにしてもミミの役所が本当に微妙だな〜
振り返ってもあんまり思い出せません…勿体無いとしか言いようが無い。
【その他】
●役が少ない中であひちゃんが何とか検討してました。
 あの笑い方は素直にウンとは言えなかったけど、時折見せるくしゃとした笑顔に癒されます。
 それにしても月組で彼女を見るのは初めてだったけど、長身が映えていい!
 周りの身長差って大切なのねーとしみじみ。
●主要メンバー以外は結構厳しい作品な訳ですが、それでも上級生の存在感(という名のオーラ)が
 みなぎってました。
 まぁ未沙さんとか未沙さんとか未沙さんとか、出雲さんとか出雲さんとか、越乃さんとかですが(爆)
 もう濃厚で濃厚でどうしようかと思った。
 おそらくこの方々がいたから説明芝居も何とかやりきれたんだわ。
 月組は星組のキャラ立ち無敵上級生軍団に次いでの圧倒感だと思います。
●若手も実力は備わりつつあるのに作品的に生かしきれないのは本当に残念。
 城咲あい嬢なんかちょっとしか出番がなくてこの扱いでいいのか!?と憤慨したいぐらい。
 若手男役(青樹、星条、龍)もホテルスタッフで全体的に印象も薄いし。
 下級生に対する配慮がもう少し欲しかったと思います。
 その中でもまだ目立ってたかな?というのが月っ子になった桐生園加。
 これも月デビューとしてあのポジションだと思うけど、それにしては
 緞帳前の説明チームの中心なだけで物語に関わりないし。
 それでもノビノビキングとして新たな地で頑張ってほしいものです(最初がこれじゃ居た堪れないけど)

そう言えばオープニングのロケットで靴のベルトが壊れて脱げてしまったハプニングが発生。
他が揃ってるだけにすごく目立ってしまったんですが、冷静に履き直して足上げに参加した姿に感動。
ベルトがない分、客席に飛びそうで不安じゃないのかな〜と思いましたが大丈夫でした。
私が月組を観るとハプニングと遭遇する確立があるのは何故だろう…(謎)

ファンシーダンス
三木先生の作品ですが、基本的に私は三木ショーの相性があまり良くないのです…(初っ端から)
三木ショー作品って全体的な統一感にかける気がするんですよね。
場面の色は出ているんだけど振り返ると何か特出して良かったというのがあまりない。
それでも退屈な気分にもならなかったのと、使っている曲が結構好みだったということで
±ゼロな感じです。

■オープニングの帽子が格好良い(特に娘役)(え)でも2階からだとますます表情が見えません。
 生徒によっては顔を挙げてくれるんですけどね…あれはちょっと疎外感。
■ダンス強化担として月組赴任した園加氏は集団でも一人だけ違う。
 何が、と言っても分からないんですが…ダンスの時にだけ出る花組仕様フェロモンかな。
 踊ると急に表情が変わる、正直さんが愛しいです。
■大空さんが引き連れる赤いスーツのメンズ(多分チャンプの場面)の中でもひときわ足が長い人が!
 誰かとおもってオペラでガン見したらマギー審司だった。
 大きな瞳でウインク光線バシバシに受けて撃沈。
■ペトルーシュカの二つの世界(現実世界での人形と表出化された人形)が重なり合ってる雰囲気は
 なかなか味わい深いものでした。
 三木先生って時々ぐっとくるものも間に挟むから不思議(『レコラ』の記憶とか)
 きっと出来ない訳じゃないだろうけど、全体的に繋げるような演出はしないんだろうな。
■映画スターの恋人役、かなみんおばあちゃんが超絶にキュート♪
 「なによぅ」とあんなに可愛くジャンピング出来るのってそういないよ。
■スピーク・ロウの音楽が流れた時、涙が出そうになる(天海さんバウで使われたmahina的懐かし曲)
■フィナーレでは愛しの(時に破壊的)ダンサーフジコがロケットで特出されてて演出家の愛を感じます。
 リカさん時代は結構踊りで活躍してたもんね…最後にあんな場面があって本当に良かった。
 これまたくるくる回った後の彼女の幸せそうな表情を見たらこっちも幸せですよ。
 密かに応援してきて良かったなぁ。
■フィナーレのエトワールが珍しいメンバーでした。
 すっかり出雲組長でくるかと思いきや(苦笑)音姫&憧花&白華トリオで。
 若いけど実力充分な二人&フレッシュれみ嬢(まだ音程が不安定…笑)でまた新たな風が吹いた感じ。
 でも私の夢はいつか5人ぐらいのエトワールの中に五十鈴さんが入って朗々と歌ってもらう事ですから。


意外とすんなりあっさり観た気もしますが、よく考えてみればさららんはいないし、みっちゃん、音ちゃんも
組替えしちゃったしで、前回までに私が観てた月組とはまた違うんですよね。
あの偉大な夏河組長もいないんだった…
それでも調和がとれてるし、月組として違和感を覚えないから宝塚って不思議。

2007.2.27