Madama Butterfly

『堕天使の涙/タランテラ!』  救いはどこにあるの?


朝海ひかるサヨナラ公演もついに幕を開けてしまいました。
発表からまだ数ヶ月…時のうつろいの速さは時に無情。
それでもコム男さんには沢山良い作品を見せてもらったし、このタイミングでの退団も受け入れられるもの
なので景子先生&オギーのスペシャル3時間を堪能しよう!と心ウキウキで観劇したわけですが。

ウキウキだけで終るはずなかったね…そうだよね…考えれば分かるじゃん(フハハ☆)
お二方の演出力を甘く見ておりました。むしろ泣きすぎて悶える3時間になるとは…
そんな訳でサクサクっと書いておきます(テンション違うな)

【堕天使の涙】
まず内容より何より。豪華絢爛でした、舞台上が。
景子先生の情熱がビシバシ。お話があまりよく理解出来なくても舞台を見るだけで価値はある。
舞台上は‘夢’世界な訳ですから現実と切り離す意味でも、そういう拘りはあって良いと思うんですよね。
豪華なのに華やかすぎないのはクラシカルでシックな衣装と暗めの照明。
この不思議なアンバランス感が好感触(暗すぎて遠くからだと生徒の顔が見づらい面もあるけど)
まさに退廃な時代の暗示ですね。

さて、話の鍵を握る3つの群像(師弟関係、恋愛関係、親子関係)
この中に疼く静かな闇にそっと寄り添うようにやってくるルシファー。
ルシファー自体は何か行動する役ではないけど、この其々の話が際立てば際立つほど
彼の存在も大きくなってとても面白いです。
そしてルシファーとリリスの関係性に繋がっていく、曖昧なようで結構順序立てられたお話な気が。
堕ちる時(選び取る)の象徴として林檎(=禁断の果実)を随所に用いる所もお洒落。

エドモンとマルセルは才能と嫉妬(努力型と天才型)
クリスチャンとイヴェットは将来への大成
ジャンとジュスティーヌは相容れない愛情(愛と憎は紙一重)

欲望を突き進む人間を冷笑するルシファーだけどそれで終らないのが本当に良かった。
エドモンは弟子の死で「私はもうこの地獄から抜け出せない」と自覚し、
イヴェットは無償の愛を自覚する事で自らの愛をも再認識し、
ジャンとジュスティーヌはリリスを介して心の氷が解けていく。
これは堕ちた人間にも許される‘救い’であり、
それこそ人間だけが持ちえる姿なのではないかと思いました。
それを知りたかったのでしょうか、ルシファーは ←やや消化不良
色で例えるなら天使は白(リリス)堕天使は黒(ルシファー)そして人間はグレー(欲に堕ちる人達)な感じ。
ルシファーは白に近いリリスと出会う事で(他の人間と接する事でも)グレーを理解していくのかな?
この辺り、ピンとした答えが出ていないので次回まで持ち越し。

以下、超簡単に箇条書き。
■今回のMVPは五峰ママン&萬パパン。
 「頭で分かっているけど心は分からない」…名言です。現代にも充分通じる。
 二人のタンゴは一番の釘付けでしょ?(勿論)
■ひづる様のシスターが包容力MAXで温かかった。あの優しいお声がー(涙)
■まーちゃんリリスの盲目っぷりが最高!
 あの影のある表情といい、最後の白い光に包まれたような清い美しさといい、
 良いもの見せて頂きました(感服)
■ルシファーとリリスのダンス、ブラヴォーウ!!あんなに清らかだと思った舞台は初めて。
■ラストの場面は映画『white Christmas』を彷彿とさせる。
■ハマコ(の役)本当にヒドイ奴だった(笑)でも良い意味でも悪い意味でも一番人間らしい。
■エドモンは欲と理性の瀬戸際でよく戦ったと思う。抱きしめてやりたい。
■ミズのネクタイをとる仕草とバレエのバーにただ寄りかかる姿がココロ鷲掴み。
 フェロモン放出な男前だと思ってたのにさり気ない男前にもなっちゃいました、おいおいどうする(私が)
■かなめサリエルの黒手袋装備が好きです。なんでルシファーはしないんだろう、勿体無い。
■山科嬢、たまには他の感じも見てみたい。可愛い顔して怖いんですとかさ。
 バレリーナ群で良い子チームは他は純矢ちとせ嬢と愛原実花嬢(一緒に談笑してたから)
 もう癒されホワホワ。
■もちろん欲望むき出し群も好きですよ。舞咲りん嬢、相変わらず濃厚です。大好き(告白)
 涼花リサ嬢もこっちにくるとは以外でしたが、勝気そうで良し。
■想像以上に彩那のひろみちゃんが雪組に馴染んでた。ミズが来た時より違和感なし(すごいな)
■指揮者の先生を「マエストロ」と言っちゃう&仮面を持つそのお洒落さがたまらない。

【タランテラ!】
『パッサージュ』『バビロン』『ドルチェ・ヴィータ』に続く、オギー混沌世界シリーズ第4弾(対岡田)
今回はイタリアが舞台という事で今までになかった儚さらしからぬ情熱的な熱さを感じつつ、
でもどこか不確かな空虚感もしっかり漂わせて。
そりゃぁ堪能しまくってきました!!
でもたかだか2回の観劇で理解するのは不可能…(沈)とりあえず言えるのは

矢代さん>娘(山科嬢)>蜘蛛(影)=蜘蛛>ジプシー>囚われた男(=人間代表、壮)
な世界観の縮図

といっても上の2名に関しては世界の外から覗いている感覚。
時々世界に下りていっては(特に娘は直接)色々動かすような第三者的印象。
何も考えていないようで全てをおもちゃのように動かしている、さらにそれすら支配する矢代さんの存在。
‘ユーモアだから感じる残酷さ’を全体的に感じます。

男は蜘蛛に囚われ
ジプシーは(また異世界から)逃れられないこの世界に囚われ
蜘蛛もまた自身の過去に囚われ
そんな囚われの世界を虫籠の納めて愛しむ娘。


いいなぁ…このぐるぐると出口の見えないような、掴めそうで届かない空虚な世界。
やはり大好きですわ、いかに原色世界であろうと。
初めは余りにもギラギラでちょっとドキッとしたんですよ(ほら、淡白なイメージだし)
でも見ていく事に全然気にならなくなります。
後半はストーリーというよりはコム男さんサヨナラモード全開ですし。

と、おぼろげに世界観を共感しつつ以下箇条書き。
■第0場(←0の定義をした哲学者みたいで格好良い)の銀橋。
 明るいカーニバルだからこそよけいジプシーの無表情さが際立つ(意味深)
 娘の表情がセリ下がる時だけ急変するのがしびれました、怖っ!!(パイド・パイパーもかな?要確認)
■第1場、えりたん、囚われまくってました(苦笑)誰か助けてあげてー
 力の構図が分かりやすい場面でもありますね。
■第2場、蜘蛛担は服もマタドール姿の下にヒラヒラを隠しててニヤリとしてしまいました。
 ここでもえりたんが戸惑ってます、頑張ってー
■第3場、幻想的な蝶が本当に綺麗。『バビロン』の鳩場面に近しい感じがして涙が出そうに。
 まーちゃんの動きがしなやかで飛び跳ねても空気を感じないのが素晴らしい。
 過去を引きずるタランテラ、好きだけど愛するには障害が多すぎる切なさ。
 近づくには蜘蛛の巣で捕えるしかないんだもんね…そして「愛の亡骸食べた」のか(切な過ぎる)
 去り際のまーちゃんの表情も切なさ倍増。
■第4場は一転して、スーツがめちゃ格好良いですよ(眼福)
 なんか花組的なスーツ着こなしイメージでスタイリッシュ。
■第5場、ここは海の女の姿をした蝶だと思うんですがどうなんでしょう?オギー(聞くな)
 母性的包容力を感じられて、温かくていいですね。
 さすが大西洋、母なる海…
■第6場、the・原色(笑)でもこの位テンション高い方が見る側も辛くなくて助かる。
 山科嬢がセリの上から一人でポージングしててとてもおいしいかと(全体的にも)
 それだけショーでも芝居心があるって事ですよね。
 というかあのお花な格好があれほど似合う中堅ってなかなかいないと思うの!(褒)
 シビ様の歌うお姿がラフなのに洒落てて格好良いですYOー
■Amazon(違)終わりのポジティブえりたん銀橋場面。
 ここからフィナーレに行くまでが意味深ですね…
 娘が籠を持って蜘蛛(影)に見せるけど中には何も入ってない。
 今まで蜘蛛が囚われていたのは過去だけでなく、現在の自分の立場もだったという事か。
 そこから解き放たれたから籠の中には入っていないのか。
 だから影も外から籠を覗いている(もうそれでいいよ)
■フィナーレやばやば。泣かずにはいられない。
 大人なデュエットだし、ミズの参加でピラミッドの継承しちゃうし、総踊りだし。
■ハマコの本領発揮キター 歌詞がまた卑怯だ、オギー(「朝の海」とか書くんじゃねぇ)
■まーちゃんは最高にパンツ姿が似合う。
■銀橋で感慨深げに舞台を見るコム男さんを、感慨深く見る客席…ナニこの構図(オギーのバカッ)
■コム男さんが階段、階段上がっていくよー(涙)(オギー…以下略)
■変則パレードで正直目&拍手が追いつかない(アワアワ状態)
 でもセンターで歌うミズを見て、着実に継承されているんだな、と実感。


どちらの作品も深くて、ずしりとくるものがあり最高で最良!…と言いたいんですが
これを連続して見るのは結構辛いかもしれません。
世界観が似てるわけじゃないけど、底抜けに明るいhappy作品でもないし。
見終わった後はまさしく‘抜け殻’(堕天使と蜘蛛に魂を持っていかれ状態)
でもぐるぐるしながらも真意を突き止めようと考える一時ほど幸せなものはないのでした。
東京はもう少し把握したら、単純にサヨナラ公演を楽しみたいと思います。

相変わらずの意味不明長文、最後まで有難うございました!

2006.10.5