『炎にくちづけを/ネオ・ヴォヤージュ』1 炎の感想
『炎にくちづけを』のかなり偏った考察アリ。
本当は11月に入ってからの観劇予定が、友人に頼まれ急遽参戦となった『炎&ネオ』
さてさて、何かと話題のこの作品。
前評判では賛否分かれる所だけどコーラスはいい、といった感じ。
キムシン(木村先生)作のオペラシリーズは毎度一悶着あるからそこは仕方ないとして。
『鳳凰伝』『王家に捧ぐ歌』『スサノオ』に続く『炎にくちづけを』だけどmahinaはとりあえず
キムシンの舞台は嫌いじゃなかったので(むしろ好きだった方)まぁ大丈夫だろうと気楽に観劇。
…なんて思ったら大間違いだった(爆)
…なんか…なんか嫌だっ!!…←なにがだよ
結論から言っちゃえば久しぶりに全体的に受け入れられない作品でした(涙)
宝塚でこういう作品も扱っちゃうとは。
実験的要素は認めるけどさぁ…宝塚は夢の世界なはずでしょう?
悲劇でも夢な世界の悲しい結末(例:霧ミラ、ファントム)なら分かるんですが
炎は現実的でかつ救いがないんだもの。
ただその時代の事実を述べて終わる、悲劇的内容でも悲しいとかそういう気持ちではなく。
mahinaには珍しく涙も流さず、或いは怒り等の感情も起きず終わってしまった。
もちろん初見だから物語を追うのに精一杯だったというのもあるし、
宙は何故か何度か観劇するとはまるという魔の法則(自分だけ)があるから
これからどう動くか分からないけど。
何でそんなに無の感想がない状態で終わってしまったか今でも謎です。
もしかしたら、と思うのはきっと今回の題材が私的に受け入れられなかったという事かも。
テーマは明らかに宗教問題。それも宗派差別のような取り方。
(ジプシー達の反キリスト教徒vsキリスト教徒)
キリスト教徒達がジプシーを弾圧する場面でジプシーが「俺たちはキリストが嫌いじゃない」
「宗教で差別をするな。神を信じる前に人間としてまっとうに生きろ」と言う場面がある。
正当な事を言っているけれど、あらゆるものと比べて生きてきたのが人間なのであって。
それはジプシーだって同じだと思うのです。
ジプシー達が誰とも比べてないなんて誰が言えるのか?
嫌だったのは演出上、殺されるジプシー達がいい側でキリスト教徒達が悪のように描かれていた
(ように見えた)事。なんで一概にそう捉えてしまうのか私には分からない。
キリスト教徒達は別に悪い事してないと思うんだけど。
この考え方っていけないのかな…
とにかく弾圧シーンは中々残酷(舞台からはけて影で撃たれる様子が分かる)で、
これでお涙頂戴と劇団が思ってるんだったらちゃんちゃら可笑しい。
終わる事のない、決まる事のない問いかけを舞台上でされても困るのです。
その答えは人類が未だ到達する事の出来ないものなのだから。
これが宗教問題じゃなかったらもう少しまともに見れていたかも。
あと悲しかったのは一応本筋な筈のマンリーコとレオノーラの最後の関係性が『王家に捧ぐ歌』と
リンクしてしまったという点。
捕らえられたマンリーコは愛しいレオノーラさえ生きてくれたらいいと歌うけど、
それって明らかにラダメスがアイーダにむけて願う歌にそっくりで。
いくら両方とも自分の作品だからといってこんなに似せなくても。
そりゃどちらもオペラという原作がある訳で木村先生自身が悪い訳じゃないけど、
だったら似たような作品を持ってこないで欲しい。
そろそろオペラシリーズもネタ切れって事なのでしょうか?
先に述べた‘救いがない終わり方’これも痛かった。
今までの作品と比べると
『鳳凰伝』…【テーマ】命を顧みない愛
トゥーランドットが真の愛を知る。
『王家に捧ぐ歌』…【テーマ】神の名の下行う戦い→陰謀(テロ)
主人公二人は死亡。
でも残ったアムネリスが戦いの虚しさを知り自分が生きている限りは
戦いをやめ、平和への希望を失ってはならないとする。
『スサノオ』…【テーマ】自国(自分)の平和だけを求める事への是非(洗脳?)
己の欲だけの行動を否定(それはいつか己に返ってくるとする)
スサノオは争いの虚しさに気付き大和の平和を築く未来を選択する。
終わりへのこじつけ方等多少の問題はあっても今まではそれなりに救いなり希望が描かれていたのに
『炎』はそんな救いが一切ない。
主人公二人が共に死に、残った伯爵は事の顛末のみ聞かされた(火あぶりにしたマンリーコが実は弟)
所で終わる。それもその場面が絵画のように止まった状態で。
こんな愚かな事があったから二度とココから学んではいけないという教訓、としか見れない終わり方。
肝心の教訓(宗教差別)も簡単に答えの出ないものだし、何を読み取ればいいのか。
かなり好き勝手、それも批判的に書きすぎてしまいました。
基本的に木村先生作品好きだし、あのアグレッシブさも嫌いじゃないから
がっかりという気持ちが強いのかもしれません。
これをうっかり読んで気分を悪くされた方がいらっしゃったら申し訳ない。
でも自分の気持ちを偽りたくはなかったから書いてみた、自分。
パンフレットも買ってないし、また見たら印象も変わっていくかもしれないね。
とにかく初見で分かったのは一番可哀相な人物はルーナ伯爵という事だけ。
炎の個別語り、ショー語りはまた別の機会に。