『龍星』 その瞳に囚われて
今日は星青年館『龍星』の日。
本来何もなかった一日が前日の指導教員の一騒動で急遽出校する羽目に。
朝から夜の公演が間に合う位までギリギリ大学にいたのでかなり焦りました。
ザッツ雑用(事務)で腰はバキバキいってるし、やっても×2終わらないし(涙)
何とか9割程度のキリをつけて千葉から千駄ヶ谷へ。
一緒に観劇の友人は1回目公演を見てたのでドトールで待ち合わせ。
ギリギリまで毎度恒例(笑)の情報交換をして青年館へと向かう。
今回の『龍星』は事前に物語が複雑、と聞いていたので友人に「話分かった?」と聞いたら
「大丈夫だったよ〜」との事。不安も払拭され、一安心。
水曜日という事もあって東宝が休演日の今日は宙の生徒が沢山来てました。
確か初嶺さん、毬穂さん、珠洲さん、アリスちゃん、鳳翔大氏 は絶対いた(はず)。
他にも下級生がわんさか(それも近くに)いたけど宙担じゃないmahinaはさっぱり(汗)
関係ないけどいつも観劇すると宙組子との遭遇率が高いワタクシ。
それも花影アリスちゃんは、かなり劇場で拝見してます。これって何の偶然なんだろうな?
肝心の物語なんですが。
かなり分からなかった!!(ダメじゃん)
全然大丈夫じゃなかったです。馬鹿だ、私〜
余りに登場人物の関係性が複雑で頭の中がスパークして軽く物語どころじゃなかった。
こりゃまずいと思ったので一幕が終わった時点で友人にヘルプして30分かけて『龍星』講座
(それも相関図付き・笑)
でも周りにも「結局チエは何なの?」とか聞こえたから私だけじゃない…はず。
結局こんな人間関係。
時代は中世の中国。
安蘭けい演じる龍星は宋の皇太子(後皇帝になる)でも元はただの名もない戦争孤児。
金国がこの孤児を利用して人質として金に送られてきた宋の皇太子と入れ替え、
金国のスパイとして宋に戻した(前皇帝崩御の為)
皇帝になった彼は、本来ついている金国をも裏切り絶対権力を手に入れる。
柚希礼音演じる李霧影(りむえい)は宋の宰相の息子。でも彼こそ真の皇帝継承者(=龍星)
当時宋には正室が生んだ皇太子がいたけど彼は病弱で皇帝としての器にかけていた。
そんな時、側室が生んだのが龍星で皇帝は彼を溺愛する。正室は暗殺を計画し龍星を
守ろうとした母(側室)が代わりに亡くなってしまう。
この出来事の対応策として李宰相は龍星と自分の息子を入れ替えさせ、我が子として守っていく。
こうして彼は宰相の息子となり、宋のスパイとして金国に潜入する。
ああややこしい!(壊)
初めは龍星と霧影が入れ替わってるだけかと思ってたら、そうじゃないんだもん。
柚希礼音(本当は龍星)⇔夢乃聖夏(本当は李宰相の息子) がまずあって。
皇后の陰謀で金国に人質として送られた龍星が金の策略で
夢乃聖夏(ここでは龍星)⇔安蘭けい(本当は戦争孤児) になる。
【真実】 龍星=柚希礼音 李霧影=夢乃聖夏 戦争孤児=安蘭けい
【現実】 龍星=安蘭けい 李霧影=柚希礼音 囚われの男(殺されずに幽閉)=夢乃聖夏
という事か(超簡潔・汗)
初見では設定が難しくて物語に入り込めなくてもったいなかったです。
それでも『龍星』講座のおかげで2幕はすんなり入っていったけど。
ちゃんと分かってて観ればすごく面白かったと思います。
パンフとか歌劇で事前情報入れておけばよかった…後悔。
児玉先生の作品は初観劇だったんだけど一癖あるこの方の舞台。
ちょっと不安はあったけど、それほどまで期待してなかった分(こら)良かったのかも。
ただこの方の作風って(他は大して知らないけど)‘自分だけ良く分かる’作品って感じがする。
つまり書いてる本人はすごくよく分かるだけど他人から観ると何だかすぐには分からない。
それだけ人間関係とか舞台背景とか時間軸とかが複雑なんだよね。
こういうのもアリだとは思うけど余り得意ではないかなぁ、やはり。
同じ複雑系だと斉藤先生が似てる気も。でも荻田先生の複雑さとはまた違う。
オギーの複雑はまだ物語が進みながらも少しずつ理解していけるので(私だけかも)
内容の総評で友人と言ってたのは「結局4人(主要キャラ)とも可哀想だね」という事。
柚希は本当の皇帝なのに入れ替えさせられて、自分の素性をずっと知らなかった訳だし。
自分が真の皇帝だと知り宋にいる安蘭(龍星)に対決を挑むけど安蘭の部下に殺される。
金国の愛しい恋人(花蓮)を残して。
龍星の妻、砂浬は人質という形で宋に送られて祖国を龍星に滅ぼされる。
夫が憎しみの対象だったという悲しさ。でも彼女は次第に龍星への愛情が芽生えて、
彼を守る為に無くなる訳だから結果的にはそこまで可哀想ではないけれど。
時代と国に動かされた女性、という観点から見ればやはり可哀想な人。
李霧影の恋人、花蓮は愛しい人を宋に行かせなければならない。
彼の子供を身篭っているのに。
霧影と二度と会えないと分かっているから、一人(子供とだけど)で生きていかなければならないと
分かっているからよけい辛くて。
でもやっぱり一番可哀想なのは戦争孤児から皇帝になった龍星。
彼は名前もなく生きてきて、誰かの代わりになるのではなく誰かになりたかったと最後に言ってる。
皇帝になって誰かになれたけど、李霧影が目の前に現れた事で結局それも誰かの代わりだった
という事になって。
スパイとして生き、人を裏切り皇帝という地位を手に入れた彼。
そんな生活に安らぎが見当たる訳もなく。
一面の白い花の光景が微かに残像として残る幼き自分と母との記憶も今やむなしく。
唯一の安らぎとなっていた妻まで最後には自分を庇って死んでしまい。
彼はそれでも皇帝として生きていかなければならない、一人で。
無とも虚ともとれる彼の闇底深い哀しみ・孤独感が伝わってきて痛々しかった。
花蓮もそうだけど残される側の方が辛いかな、やはり。
演出的には舞台装置がすごく素敵でした。
皇后が暗殺を企む辺りでは後ろの壁に鏡が斜めに設置してあって、こちらの視点と違う
斜め後ろの様子がみれて格好良かった。
宋vs金国の戦いの場面では前方に両軍が、後ろの階段上に互いの将軍(宰相)がいて
遠方から指示を出してる様子が分かったし、互いに言っている間に二つの龍の絵が現れて
それが戦いを良く表してた。
過去の残像で出てくる白い花は若干大野先生似で大興奮。
花が散る様子はすっごく綺麗。
度々出てくるトウコの子供時代、これが胸にくる。
記憶の母と少年の踊りの中にトウコ自身も入ってきて。
同一人物だから当たり前だけど少年役とトウコがぴったりリンクしてる。
フィナーレ辺りでまた登場した少年にトウコが抱擁してるし。
何故だか分からないけど胸が熱くなる。
自分を許すじゃないけどトウコが少年に向けて穏やかな表情をしてたからだろうな。
物語は最後まで哀しくて、淋しくて。
でも最後のフィナーレで少し救われる感じで良かったなと思います。
【生徒別】
■トウコの演技力に脱帽。そしてあのキラキラ瞳が間近で見れてときめくときめく(馬鹿)
■トウコとチエのハーモニーに震える。
はっきり感で高めのトウコに影のある低めのチエ。心震わす声質だなぁ。
■ヒヅキの二刀流さばきがどんな男役より格好良かった(褒めてます)
■李宰相の磯野さんも切ない。李夫婦が温かくてそれもやばかった。
■皇后キンさんマジこえー
■皇帝エンディ、頭のジャラジャラで顔が見えない(笑)
■彩海早矢は黒い役専科になったらいい(別に悪役じゃなかったけど)
■達懶(だらん)役の紅ゆずる氏がコミカルだけど結構格好良かった。
■少年役の成花まりんちゃんがうっかりみわっちに見えた。
オペラグラス使わない+担当組じゃないとこんな失態も(それにしても間違えすぎ)
パンフも予備知識なくて初見の割に結構思いの丈を語れて、かなり満足。
いつかテレビで見る機会があったら深く見ていきたい。
こうやって向上心(勉強心?)くすぐられる作品っていいわよね。必要ね。
最近少ないもんな…